バスキアとビートルズ
2019年 01月 13日
最近2つの映画を観た。ひとつは26歳の若さで急逝したNYの天才アーティスト、バスキアの10代後半のドキュメンタリー。
まだ有名になる前、1970年代後半から80年にかけて、家出してイーストビレッジで路上生活をしながら、荒廃した街のあちこちにラクガキをし、次第にその才能を開花させて行く姿を、当時の友人達が回想する。「単なるラクガキではないと誰もが気づいていた」「自分は有名になると話していた」・・・、まだ何者かもわからない1人の若者の才能や野心が見える。詩のようなメッセージを描き、拾ってきたゴミをアートにし、友人の服にペイントし、クラブで演奏し、とにかく何かを表現したいエネルギーに満ちていた、もの凄くチャーミングなバスキア。そんな彼のずば抜けた才能を見いだし世に出したのがアンディ・ウォーホールだった。そこからまるでジェット機のようなスピードで20世紀を代表するアーティストとして飛び立って行く。
バスキアの絵を初めて見たときの衝撃は今も忘れられない。なぜか心臓がバクバクして泣きたくなった。
NYのイーストビレッジで彼のサイン入りの画集を買った。それからしばらくしてドラッグであっという間にこの世から消えた。
その映画から2日後、今度は1960年のロンドンを描いた「MY GENERATION」を見た。俳優のマイケル・ケインがプロデュースし案内役をしている。
出てくるのはビートルズのポールやジョン、ローリングストーンズ、ザ・フー、ツイッギー、マリークワント。階級制度の色濃い当時のイギリス社会に、労働者階級の若者が音楽やファッションで革命を起こした時代。全てはロンドンから始まり、やがてアメリカに、世界に広がった。まだ子供だったけれど、あの頃のロックやファッションの言いようのない魅力、カッコよさにはまいった。年上のお兄ちゃん達がビートルズに狂っていた時代。やがて70年代に入り、そんな彼らもLSDやマリファナに浸り、勢いや方向性を失って行く。80年代にはすっかり色褪せてしまうのだけど。
いくつかの時代が過ぎ、天才が花火のように現れては消え、世の中も鮮やかに咲いては萎み、半世紀以上経ってしまった。
by aoyukibon
| 2019-01-13 23:52
| 映画あれこれ